目次 > ゲームについて > アドベンチャー攻略 > MYST III Exile(旧) > おまけ
Myst III Exile


| 概要 | 用語集 | ヒント集 |
| おまけ | 攻略チャート |

種類
| OP他 | アトラスの日記 | キノコタワーのプロジェクター |
| 各時代のプロジェクター | サーベドロの日記 | ED |


 ゆっくりと、記憶が甦っていく。俺は誰なのか、ここに囚われて どのくら時がたつのか・・・何も覚えてはいない。俺の心を覆う霧の中 を漂い、囚われてからの記憶、その破片が甦ってくる。
 最初に記憶を蘇らせてくれたのは夢だった。その時の俺は、大地 の牙の近くでアシの茂みに横たわっていた。どのくらい時間がたっ たのか・・・どうやってここへ来たのか・・・それは思い出せない。空を 見上げると、絶壁から男が抜け出てこようとしているのが見える。 最初に頭が・・・次に肩・・・最後に胴体が出てきた。太陽が男の体を包 む。俺は動けない・・・どうやら、ついに死神が俺を連れにやって来た ようだ。
 男は、悲しげに海を見下ろしながら、本を手にして崖の上に立っ ている。俺はその男に声をかけたかった。その男が探しているのは であることを告げるために。だが、俺の喉はカラカラに渇ききっ ていて、言葉は出なかった。俺が立ち上がろうとするよりも早く男 は本を開いた。
 そして、本のページの上に手を置き霧となって消えていった。
 夢であるかと思った。

 それから、どれくぐらいの時がたったのだろう・・・
 数時間? それとも数週間?
 俺は、崖の上で男が持っていたのであろう、渦巻く本が落ちてい る事に気づいた。手を伸ばしてみると、その本は現実に存在した。
 たちまち霧が俺を飲み込もうとしたが、俺は本という現実の存在 にしがみつき、本を手放さないようにした。体がしびれ・・・そのまま 意識を失いそうになったが、俺は必死に抵抗した。

 気を付けろ、サーベドロ。
 霧に飲み込まれてはいけない・・・長い呪文があるはずだ。
 飲み込まれたら、何日・・・いや何ヶ月もの記憶を無くしてしまうか もしれない。俺をとりまく霧はあまりにも濃く、目の前に伸ばした 自分の手でさえ見えないほどだ。俺は必死に抵抗しようとしたが、 手応えは何も返ってこない。

 あの男の息子達は、二度ほど俺達の村にやって来たと思う。
 ナラヤンに。
 一度目は、息子達に会ってくれとアトラスに頼まれた時だ。
 あの男は、息子達は本を通ってやって来るだろうと言った。息子 達には、あなたの言葉が理解できないだろうが、その言葉を使って 障壁を外すだろうとも言った。ナラヤンは彼らが習得すべき事の集 大成なのだそうだ。

 思い出した・・・アトラスの息子達が来た日、タームラは木に精霊の 仮面を彫り込んでいた。
 彼女が俺の袖を引っ張って注意を引き、空を飛ぶ滑空船を指さし た。
 姿を現したのが若い少年だったため、俺はとても驚いた。二人は 父親にそっくりだった。しかし、奴らは父親と違い、短期で荒っぽ く大人扱いされないとすぐに憤激した。
 俺は奴らを家に招きラチスの木の世話の仕方を教えてやると言っ た。一緒にラチスの木を大きく育てようと・・・そう言う意味だった。
 だが奴らは「なぜ自分達が働かなくてはならないのだ」と言って きたのだ。

 いや、違うぞサーベドロ!!!それはもっと後の事だ。
 アトラスが息子達を連れて帰った後だ。その言葉を言った時のあ いつらは、もっと大きくなっていたはずだ。頭が骨ばり、勇ましく なっていた。成長して大人になっていたのだ。
 ただ・・・その瞳には暗い光が宿っていた。
 その時奴らは、ナラヤンを修復するために戻って来た、そうお前 に告げたはずだ。
 シーラス・・・そして・・・アクナー

 壁は絡まった枝と蒸気で赤くなっている。奴らは何を見ても、肉 付きの良い顔をゆがめて笑っている。
 俺は奴らがどんな嘘をついて、何をしたかを覚えている。
 奴らは俺を消すためにここに連れて来たのだ。
 俺は奴らについて悟った。
 ラチスの根は育ちすぎて黒くなり、熱い蒸気の中で、胞子は浮き 上がり飛び散った。
 胞子を枝に導く者はいなかった。織り合わせの儀式を行うために 待ち構えている者もいなかった。
 争いが人々をバラバラにしたのだ。
 奴らは、気にも留めない・・・
 そんな事はどうでもいいのだ。
 そう、奴らの望みはナラヤンが滅びることだったのだから。

 ついにやった。
 あの男の本を使って、あの男の後を追ったのだ。手のひらで触れ ると、本が震え始め、俺は吐き気を感じた。
 次の瞬間、俺はページの中に引き込まれていた。
 以前にも同じ事があった。
 ハッキリ覚えている。最初はこの場所に来た時に起こったのだ。
 ナラヤンから殺人を犯したあの男の息子達を追って来た頃、それ はあの男が隠していた本を使った時に起こった。
 やっとの事であの機械を開いた時に、霧に初めて心を飲み込まれ る直前だった。
 どうやら、今回は霧に見つからなかったようだ。気がついた時、 俺は部屋にいた・・・裏切り者達の家に・・・
 俺は動けなかった・・・怖かったのだ。連中は俺がここに来た事を知 っていて、待ち構えているだろうと思った。
 まさにこの大地の牙の中で待っていた時の様に、縛り上げられる のではないかと思うと怖かった。あの毒蛇どもにまた襲われるのが。  だが、静寂は破られず家全体が静まりかえっていた。
 俺は何をすべきか自分でも良く分からないまま、家の中を調べ始 めた。全ての部屋・・・全ての階・・・全ての棚を俺はくまなく探した。
 そして、あの男の日記、アトラスの終わりのない日記を見つけた。
 俺をこの世界・・・
 あの男がジェナーニンと呼ぶ時代・・・つまり訓練のために時代へ連 れ帰ってくれる本も見つかった。

 ああ、愛しいタームラ。
 俺がここに囚われてから、どのくらいの時がたったのだろう?
 水たまりに映った顔は、かつての俺の顔ではなく・・・ひどく年老い ていて・・・凶暴そうに見える。だが、それが俺・・・サーベドロなのだ。
 俺は奴らのした事を忘れてはいない。どうやって仲間達を死に追 い込んだのかを・・・

 記憶が走馬燈のように駆け巡り、俺の心は絶望で一杯になた。何 もできない。あの男の障壁の外では誰も生きられないと思えば思う 程、霧が勢いを増して忍び寄って来る。
 霧に身を任せるのは簡単だ。十分に濃くなったら、その中に入れ ばいい。そうすれば心配事はなくなる。記憶を捨て去ることができ るのだから。
 だが、忘れてしまう訳にはいかない。連中が俺の仲間についた嘘 を一つ残らず覚えていなくては・・・奴らがどの様にして俺達を操り、 欲しい物を奪ったのかを!

 奴らは俺達の世界を修復するために来たのだと言い、長老達と面 会する機会を作ってくれと頼んできた。
 奴らは別の世界(生きるために必死で働く必要のない素晴らしい場 所)の本を見せ、それをアトラスが書いた本だと言った。ナラヤンも アトラスが書いた物らしい。
 奴らはお、彼がわざと世界を不安定なものにし、俺達を木の奴隷 にするつもりなのだと言った。
「判りますか、サーベドロさん。」
 彼らは続けてこう言った。
「父は僕らを学ばせるためにこの世界を書いたんです。自分の息子 達に、存在してはならない世界とはどんな物かを見せるためにね。」
 何と言えば良いのだろう。それが真実であるかどうかも分からな い。
 だが、わざわざ奴らが嘘をつく必要があるだろうか? アトラスに は嘘をつく必要があっただろうか?
 奴らが持っていた本の中の世界・・・
 長老達は奴らの話を信じようとしなかった。そして、どんな理由 があっても木を放棄する訳にはいかないと言った。
 何千年もの間、俺達はラチスの根を世話してきたのだ。その伝統 がなくなれば、俺達は滅んでしまうだろう。
 俺は自分達の死など望んではいない。絶対に!
 シーラスとアクナーが「僕たちは戻ってくるよ。サーベドロ。」
と言った様に、あの男も戻ってくると言ったが戻ってはこなかった。
 アトラスは戻ってこなかった・・・
 彼にはその埋め合わせをさせなくてはならない。

 これまでに、何度かトマーナに帰ってきた。俺はあの男の息子達 の痕跡を探している。父親の元に帰った事は確かだが、あまりにも 時間が経過しすぎていた。仲間達の事を忘れるには十分な年月だっ た。

 アトラスよ、お前は何をしている?
 お前は美しく安全な家で、愛する妻や家族との生活を楽しんでい るのか? 新しい時代を思い描くのに忙しいのか? かつて創造した時 代の事など忘れてしまったのか?

 気をつけなくては。
 俺が自由のみである事を奴らに知られてはならないのだ。
 日記だ、日記を読んで息子達が隠れている場所を探すのだ。そし て、あの二人を見つけたら・・・
 いや、奴らの家族を見つけたら殺してやる。皆殺しだ。アトラス とその家族に苦しみを味わせてやるのだ。
 俺が何年もの間、苦しんできた様に。

 シーラスとアクナーはトマーナにはいない。日を追うごとに、俺 はそう確信するようになった。アトラスの息子達は、あそこにはい ない。
 何があったんだ・・・アトラス? ナラヤンに飽きた様に、息子達にも 飽き飽きしたのか? 障壁の向川にいる俺達を見捨てた様に・・・息子達 を見捨てたのか?
 だが、そんなことはどうでも良い。まだ奴らの父親に復習するチャ ンスはある。俺はもう・・・ジェナーニンにしがみついてはいない。我 が時代の死者達の仇を取る事ができるのだ。
 すでに俺は、アトラスの他の本を開いている。そして、アトラス自 身の訓練を逆に利用して、いくつもの世界に手を加え始めている。ま だまだやるべき事はたくさんあるが、最後にはあの男をこの大地の牙 に誘い込んでやるつもりだ。トマーナからここへ・・・あの男が俺の後を 追ってくる様にし向ける方法を考えるとしよう。

 取りあえず、オービターに集中しなければ。オービターはこの世界 に元々あった物ではなく、今まで見た事のない材質でできてる。障壁 に似ている様な気もする。もし本当に同じ材質なら傷つけることはで きないだろう。
 それでもかまわない。その時は、他の装置を傷つければ良いだけの 話だ。

 あの男が柱に記した詩を汚してやった。あの男の世界でナラヤンの 芸術を目にするのに耐えられなくなったのだ。
 二番目の詩は樹液を使えば塗りつぶせるだろう。しかし、島につい ては何ができるのか分からない。
 海液を変える方法など知らない。
 アマテリアから水に浮かぶ奇妙な石を持ち帰ったらどうだろう?
 あの時代の岩は、分子構造中の何かのせいで、他の石を強く引き寄 せたり反発させたりする。
 この石を島の地面に埋めたら、最後の詩を傷つけるのに、十分な干 渉を起こしてくれるのではないだろうか?
 いくつか実験を行う必要があるだろう。

 あまりにも時間がかかりすぎた!
 家を調べるのに時間を費やせば費やす程、誰かに見つかる危険性も 高い。あの男の日記を大地の牙に持ち帰るつもりだったが、無くなっ た事に気づかれたら・・・と思うと怖い。そうでなくても俺は、あの男が どこまで知っているのだろうかと恐れているのだ。
 あの男の妻は何を知っているのだろうか?

 前回はあの女にあやうく見つかる所だった。俺は直接サンルームへ 移動した。あの男の書斎へ向かっている歩いている時、ホールから近 づいてくる足音が聞こえた。あの女は誰かと話をしていた。笑い声も 聞こえた。一瞬、それがタームラの声のような気がして、俺の心臓は 止まりそうになった。
 だが、すぐに俺はその思いをかき消した・・・タームラは死んだのだ。 俺があの兄弟を追っている時に死んでしまったのだ。

 彼女が俺にくれたネックレス。それに触れると彼女との事を思い出 す。俺はあのとき、彼女にふたりの娘を連れて岩礁に行き、隠れてい るように言った。
 ああ、タームラ! 俺は君に、全てうまく行くと言ってしまった!

 何年もの間、俺は自分の言った事が嘘にならない様に祈り続けてい た。君が岩礁にたどり着き、病気にかかったラチスの根の世話をして いる君を・・・織り合わせている君を・・・タームラ・・・どれほど祈ったこと か!

 だがそれも、あの男の機械を開くまでだった。
 あの男の障壁越しに俺はナラヤンを見た。バリアーに閉じ込められ ていたが、それでもラチスの木が枯れてしまっている事は分かった。
 ナラヤンはラチスの木が枯れてしまっては生き延びられない。
 あの男の障壁の外では誰も生きられない。

 妻と子供達が死んだ事を尻、アトラスの家の中で立ちつくしている と、霧が再び忍び寄ってくるのを感じた。いっそ飲み込まれて何も感 じない様になりたい、とさえ思ったがそうはいかなかった。そこに立 っているのをアトラスの妻に見られる訳にはいかないのだ。どうにか こうにか、もやの中を進み書斎にたどり着くと、ジェナーニンに戻る ための本を見つけた。本が俺が置いたままの場所にあった。
 落ちているのを誰にも気づかれない場所だった。俺は本の上に手を 置いた。背後でドアを開く音がしたが、その時にはすでに俺の周りか らは書斎が消えていた。
 もう少しであの女に見られる所だった。分かっている・・・今回は近づ きすぎた。もし本が置いてあるはずの場所になかったら・・・
 次回は、他の世界の本を持って来よう。二度とこんな目に遭わない ようにするために。

 肉食の混成種を作ろうという俺の試みは、ある程度の成功をおさめ た。大きな進歩だが森の中で育つ生物は、ナラヤンの植物とは違って いる。はるかに強靱だが、移植が難しい。
 沼地にいる種を掛け合わせてみたらどうだろうか?

 ウソだ!! そんなはずはない!
 きっと、俺を欺くために、日記に嘘を書いたのだ!
 そこには・・・ドニの人々を生き返らせ、新しい生命を与えたと書か れていた。一体、どうやって?
 どうしたら・・・ただの人間にそのような事ができるというのだ? 一 人の男が本を書くだけで、死んだ世界が息を吹き返すというのか?
 これは何を意味している? あらゆる神聖なものにかけて問いかけ たい。
 ああ! タームラ・・・これはいったいどんな意味があるのだ?
 たとえどんな意味があろうとも、何かが変わる訳じゃない。俺は この計画をやめるつもりはないし、仲間達の復習もあきらめていな い。敵に苦しみを与えてやらねば。
 タームラ・・・織り合わせの伝統にかけて誓おう。
 これで全てが変わる。

 操作装置の設定を変える方法が分かった。
 大地の牙の別の装置から排気用の部品を取ってこなければならな いが、手で動かせば今後も使えるだろう。

 最後の絵がもうじき完成する。
 暑い中で描くのは大変だったが、起こった全ての事をあの男に分 からせることができるに違いない。
 俺が残す指示どおりにすれば、あの男も俺と同じ苦痛を味わうこ とになるだろう。
 そうならなければ、俺は二人としも死ぬ以外に道はないだろう。

 準備は全て整った。後はアトラスの到着を待つだけだ。今夜は、 幽霊達に囲まれて眠るとしよう。
 そして・・・明日はトマーナに接続する。あの男の本を持って戻っ てくるつもりだ。
 仲間達の霊が俺を導かんことを・・・


種類
| OP他 | アトラスの日記 | キノコタワーのプロジェクター |
| 各時代のプロジェクター | サーベドロの日記 | ED |

| 概要 | 用語集 | ヒント集 |
| おまけ | 攻略チャート |


Myst III Exile

| 目次へ戻る | ページの上部へ |