目次 > ゲームについて > アドベンチャー攻略 > MYST III Exile(旧) > おまけ
Myst III Exile


| 概要 | 用語集 | ヒント集 |
| おまけ | 攻略チャート |

種類
| OP他 | アトラスの日記 | キノコタワーのプロジェクター |
| 各時代のプロジェクター | サーベドロの日記 | ED |


93.5.25
 この日が来るのをずっと恐れていた。
 長い間、キャサリンと私はドニの再建を夢見てきた。私達はそれぞれに 人生を捧げ、ドニの市民達を探し回り、荒廃した街に戻り再建することを 訴え続けてきた。今では私達の夢が多くの人々の夢となり、自分たちが行 ってきたことの成果を誇りに思っている。
 だが、私は今それが間違いだだったことに気づいた。
 ドニの街を再建するべきではない。我々の過去の過ちを象徴するものと し、ドニの崩壊と共に命を失った人々への追悼の碑として、永遠に荒廃し たままにしておくべきなのだ。ここ数か月に起きた壊滅的な出来事・・・ター ラーニーの戦い、とりわけユタの死によって・・・私はこの事実を痛感させ られた。今日、街の壁を再建するとしたら、我々の文明を破壊させる考え を容認することになるのではないか?
 将来、また同じことを繰り返すためのお膳立てをしているではないだろ うか?
 私は一晩中思案した結果、ただ一つの解決策を見つけた。
 我々、すなわちドニの崩壊を生き延びた者達が繁栄を望むのなら、数多 くの命を奪ってきたこれまでの憎悪の繰り返しを断ち切らなければならな い。新しい文明を築く必要があるのだ。
 そのためには、新しい「時代」を書き記すことがどうしても必要だ。
 この事をキャサリンに話したところ、彼女は承知してくれた。他の者達 も承知してくれることを祈るばかりだ。

93.5.26
 彼らはどれほど私を驚かせたら気がすむのだろう? 私の決断に反対する ものだとばかり思っていたが、結局のところ彼らのほとんどは再建された 街を見るためにドニに戻ってきた。
 だが、街を再建すべきでない理由を説明すると、全員が一斉にうなづい たのだ。昨日は再建について考えていたのに、今日は財産を掘り起こすこ とだけを考えている。彼らは、大切な物だけを持ち廃墟となった街から出 て行くことになっている。
 何処に目をやっても、みんな熱心にこの新しい仕事に取り組んでいる。 その様子が、大きな仕事を抱えている私を勇気づけてくれる。私はこれま でに、父の厳しい指導のもとで恐る恐る書き始めた最初のものから、最新 の<アヴァロン>に至るまで、多くの「時代」を書き記した。これまでの 「時代」は、私の技量とほとんど無関係だったが、これから書こうとして いる「時代」は、自分の想像以上に素晴らしいものにしなくてはならない。 だが、それには一体どうすれば良いのだろうか?

93.6.1
 今朝、キャサリンは古い備忘録をめくっている私を見て笑った。無数の 記録や日記に囲まれて残り火の近くに座っていた私の姿は、さぞかし可笑 しかったに違いない。中には紙と言うよりも塵と言った方が良さそうな物 まであった。だが、こうした物に埋もれて過ごした時間は、価値のあるも のだった。
 新しい「時代」がどうあるべきかというアイディアが、頭の中を駆け巡 っている。その数はあまりにも多すぎて把握出来ないほどだ。
 言うまでもないことだが、拠点としてどこかを出発点に選ばなくてはな らない。「時代」の記述は科学だ・・・緻密に構築された言葉の方程式なの である。どの様な式にも土台が必要であり、土台とはすなわち「時代」を 発展させる際の中心となる基本的な概念である。
 かつて私は、当時もっとも興味のあった考えを基にして本を書き記した。 私はその本に関連する「時代」が、どの様な形でその着想の結果を明らか にするのかを知りたかった。時には文明が誕生し、時には文明が誕生しな い事もあった。だが、「時代」に社会が生まれるにせよ生まれないにせよ、 それはどの様な概念でも私が書き記した本が具体的な形となることが多か った。
 今回の概念は身長に考慮しなくてはいけない。すでに望みどおりに発展 した文明が存在しているし、我が民族の歴史やここに到着するまでに歩ん で来た道のりの事も分かっている。今こそ私は、我々がこれまで歩んでき た道を堅持し、一つの民族として今まで以上に発展できるような「時代」 に<接続する>本を書かねばならない。
 だが、我々の文明を繁栄させようとするなら、この新しい「時代」の土 台となる概念はどの様な物にするべきなのだろうか?
 これについては、もう少し考えなければならない。

93.6.5
 時間はかかったが、どうやら安住の地が見つかったようだ。ドニの 生存者について自分は、何を知っているのだろうか? 街の崩壊に始ま り、伝染病やスラム化による苦しみや、愛する者との死別に至るまで、 数々の悲劇が我々を襲った。
 だが、このような逆境の中にあってさえ、人々は前を向いて歩いて 行く強さを持っていた。一人一人の強さを寄せ集める事で、我々はよ り強い存在へと自らを変えたのだ。
 私の「時代」を読むと分かるのだが、私は世界が内包するエネルギ ー源について書く事に、とかく重点を置いてきた。ずっと昔、祖母は 私に「エネルギーが無ければ、どんな生き物も存在しないような<時 代>に生命は宿りようがない」と教えてくれた。潜在的なエネルギー 源を利用することによって、制止していた「時代」が動き始め、成長 し・・・姿を変えて発展していく。
 エネルギーは全ての活動の原動力となる根本的な燃料なのだ。
 つまり、「エネルギーが将来の活動の源となる」と言うことだ。
 祖母は、また「<時代>のエネルギーには、さまざまな形がある事 を忘れないように」とも言った。それぞれに長所と欠点がある。この 新しい「時代」には、いくつの形があるのだろうか? そして、どれが 主なエネルギーとなるのだろうか?
 明日、私はミストに<接続>し、再び私の「時代」をいくつか訪問 してみるつもりだ。
 きっと温故知新という言葉のとおりになるに違いない。

93.6.6
 ミスト島の再訪が、どれほど苦痛を伴うことであるか、私はすっか り忘れてしまっていた。息子のシーラスとアクナーがクヴィーア島に 私を置き去りにし、数多くの「本」を燃やされてしまってから10年間、 キャサリンと私があそこに接続する事は、ほとんどなかった。忙しす ぎるからだと、私はいつも自分に言い聞かせてきた。
 実際、最初は「アヴァロン」の様な「時代」を書き記していたし、 その後は「ドニの時代」で生存者を探していた。いずれはミストで過 ごす時間も増えるだろう・・・と言うのが口癖だった。
 だが、本当はあの「時代」を避けていたのだ。島の現状を目にすれ ば、怒りや悲しみが湧き上がってくる。私の「時代」を略奪した血も 涙もない強欲な息子達の裏切りを鮮明に思い出してしまうのだ。私に も責任があることとは承知している。手遅れになる前に、息子達と話 し合う方法は無かったのだろうかと、ずっと思い悩んでいる。
 だが、何をしていても過去の悲劇を拭い去ることは出来ない。ドニ の人々の様に、一番大事なものだけを掘り起こし、先へ進まなくては ・・・先へ進めば・・・救いと希望が見つかるだろう。

93.10.17
 いくつかの「時代」で長い時間を過ごした後、私は再びミストに戻 って来た。旅そのものは、期待していたほど心躍るものではなかった。 特に、「セレーネの時代」はとりわけ心をかき乱した・・・だが、いつの 時代もそうではなかったのか?
 「セレーネの時代」に初めて接続した時、人気のない風景に震えを覚 えたものだ。その時は、その「時代」のエネルギーが一カ所に集まって いないために、エネルギー同士が争っているかの様に感じられた。最後 には安定したが、その後でさえも、心から安らぐということはなかった。
 「チャネルウッド」の様な、自然とバランスがとれている「時代」が 懐かしい。
 おそらく、あれは私が故郷に帰るための試練なのだ。ドニもその歴史 の中で、多くの混乱に直面してきた。彼らの生活はいまだに落ち着きを 取り戻していない。すでに我々の文明に存在しているエネルギーをいっ そう増やすため、もっと安定した環境、つまり世界の自然な均衡が文明 の激変と対称をなす環境を与えてやる必要がある。
 考えれば考えるほど、自然をこの新しい「時代」の出発点にするべき かどうか分からなくなってくる。「チャネルウッド」の様な世界では、 均衡は容易に保たれる。自然は相互依存を促進するからだ。 衰弱して死んだ生物は、別の生物が生きるための糧となる。植物は別の 動物の糧となり、動物達が摂取出来ない老廃物は、別の植物の生命を維 持するための養分となる。このバランスを崩そうとするものが無い限り、 自然はいつまでも均衡を保つことが出来るのだ。
 我が民にとって凡例となるおもしろい例え話ではないか。
 この件については、キャサリンとも話し合ってみよう。彼女の「時代」 には、私の「時代」よりも、共生関係が劇的に現れる。おそらく、彼女 は私がこの新しい「時代」を書き記す手助けをしてくれるだろう。

93.10.24
 疲れ果てていて、今は何も考えられない。
 だが、何とかして意識を集中させなくては・・・ここ数日間、何も書いて いないのだから。ドニに帰った途端、私は次から次へと助けを求められた。 タモン親方は、どの石切り機を掘り起こすべきか相談に乗って欲しいと言 って来た。新しい時代では、石の調査は困難だと思うか? とも尋ねられた。 オーマとイーセルは自分達が発見した新しい歴史について意見を求めて来 た・・・翻訳の開始を遅らせるべきかとか、新しい「時代」は紙が不足するの ではなかろうか、と言った類の事だ。答えなければならない質問が多すぎ て、キャサリンに会うどころではなかった。
 もちろん、キャサリンは私のジレンマを笑い飛ばした。悪いのは他の誰 でもない、私自身だと言うのだ。たしかに、ドニの人々にやり直すように 言ったのは私だ。他の何らかの力が介入して状況が一変する事でもない限 り、私が正しい方向へ導いてくれるものと、彼らが期待するのは当然だろ う。
 キャサリンの言葉で、私は今まで無視してきた原理を理解する事が出来 た。
 これまでずっと、この時代の潜在的な枠組みとして、エネルギーや自然 を想像するべきかどうかを私は思索し続けてきた。だが、考慮すべき方程 式は他にもあるのだ! エネルギーの動向だけに基づく「時代」は、常に動 乱に直面し、平穏はほとんどないだろう。かといって、自然の相互依存だ けに基づく「時代」は、長期間に渡ってバランスが取れた状態になり、変 化を受け入れなくなってしまう。
 人々と共にドニの文明が成長を続けるには、時折の動乱と、その後のバ ランスのとれた安定期の両方が必要なのだ。
 私の他の「時代」には、この様な状況が自然と発生した物がいくつかあ った。それは、私がその「時代」に行き渡らせようと決めた動的な力に焦 点を当てて、書いたためである。この様な力は、前に進もうとする動きと 相互依存とのバランスを時として崩してくれるのだ。ある概念が優勢にな ると、別の力が現れて物事が変化するまで、もう一方の概念は劣勢になる。 キャサリンの洞察力に富む言葉が思い出させてくれたように、動的な力は 変化に拍車をかけるのだ。
 疲れ果ててしまっていて・・・今夜はこれ以上頭が働かない。朝になれば、 考えがまとまるだろう。

93.10.25
 今日、キャサリンに驚かされた。どうやら、私が自分の「時代」を訪れ ていた間に、キャサリンは一人でミストに接続していた様だ。彼女は何も 言わないが、ミストへの訪問は辛いものだったに違いない。
 そろそろ、二人でやり直す場所をどこかに見つけなければなるまい。私 はそう確信した。
 ドニのためにこの新しい「時代」を書き終えたら、キャサリンと私が住 居を構えるべき場所について、真剣に考えるとしよう。

93.10.28
 これまで気づかなかったとは、信じられない! これまで、私は必死にな ってドニにとって完全な「時代」を書き記そうと努めてきた。ドニの将来 にとって最も良いと思われるいくつかの基本的な概念を考慮してきたのだ。 まるでドニの文明がどの様に発展するのかは、私が一人で決めるべき事で あるかの様に! 気づかないうちに私は、父の様に独善的になっていたのだ!
 実のところ、この事に気づいたのはキャサリンのおかげだ。
 新しい「時代」への私の迷いを感じ取ったキャサリンが、ドニへと散歩 に連れ出してくれた。掘り起こし作業は順調に進んでおり、崩壊した港の 周辺では、人々が力を合わせて後片付けをしていた。持っていくべき自分 達の文化をドニの人々が、選別する様子を眺めていた私は、自分が彼らの 将来を決定するために必要とされていない事に気づいた。私がどんな「時 代」を書き記そうとも、彼らには自分達の進むべき道をみずから決定する 力が十分に備わっているのだ!
 それを理解した事によって、ようやく自分の指名を果たすための最良の 方法が分かった。もやは、ある「時代」を支配すべき基本的な概念・・・エネ ルギー、自然、あるいは、動的な力・・・について心配する必要など無いのだ。
 むしろ、その全てを取り入れる努力をしなくてはならない。ドニの人々 の潜在能力が常に最大限に引き出される様にするため、システムのバラン スを「本」に記さなくては・・・ミストにいたころ、「時代」について話 す時に祖母が良く指摘したように、バランスの取れたシステムは文明を刺 激するのだ。
 ようやく、この「時代」を書き始める準備が整った様な気がする。いや、 むしろ書きたくてしかたがないほどだ。ふさわしい名前もすでに考えてあ る。祖母がいたら、きっと気に入ってくれるだろう!
 もちろんキャサリンは、私の顔を見た瞬間に、私がとうとう出発地点を 見つけた事を察してくれた。私は興奮して喋り続けた。
 しばらくして、ようやくキャサリンが笑いをこらえている事に気づいた。 あまりにも可笑しそうなので、私が不機嫌そうな顔をすると、キャサリン は一冊の本を差し出した。それは私の「時代」の中でも、最も古い書物の 一つだった。
 ミストに戻った時に持ち帰ったに違いない。本の表紙に書かれている 「ジェナーニン」と言う名前を見た時、私にできたことは、頭を振ことだ けだった。一度も再訪しようとしなかった「時代」こそが、最大の助けに なるかもしれなかったのだ! それを完全にわすれていたとは、私は何とい う愚か者だったのだろう。
 この作品が完成したら、私は最後の旅に出るだろう。たとえそれが、年 老いた愚か者の記憶を呼び覚ますだけだとしても!


種類
| OP他 | アトラスの日記 | キノコタワーのプロジェクター |
| 各時代のプロジェクター | サーベドロの日記 | ED |

| 概要 | 用語集 | ヒント集 |
| おまけ | 攻略チャート |


Myst III Exile

| 目次へ戻る | ページの上部へ |