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SSの幼生


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サルバー
 サルバーは部屋で考え込んでいた。何を考えていたかというと、今後の生活についてである。
「毎日まいにち面接へ行くがいっこうに採用されない。この場合、どうすればいいのだろうか・・・。」
 本当に毎日まいにち幾度となく口にしたこの言葉をサルバーはまた言っていた。
 サルバーは座っていても仕方がないので、部屋を歩き回り始めた。答えに詰まると部屋の中を歩き回る・・・これも彼がいつも行っていることである。そし て、そのあとあることをしているうちに眠り、次の日を迎えている。
 歩くのに疲れたサルバーは勉強机の前に来た。そして、椅子に座り机に置いてあるノートをにらみ、ペンを手に取った。
「特許だ! 特許だ。誰も考えつかないことを考えついて特許を申請すれば、一生遊んで暮らせるはずだ!!」
 サルバーが目にしているノートには彼がかつて考えたことがいくつも記してある。しかし全ては先を越されているか、もしくは需要のないものばかり。目標の 一生遊んで暮らせるような内容まではそう簡単にたどり着くことはできそうになかった。
 そして、そんな自分の過去の一端が記されているノートを見るとサルバーは必ず過去を思い返してしまう。楽しかった学生時代、突然の解雇、必死で職を探し ていた時、そして今日の面接・・・。
「あーっ!」
 そんな自分に嫌気がさしてサルバーは頭を抱えた。しかし、今回は嫌気が引く前にある思考が彼の中を支配した。
「そうだ、音度計を作ればいいんだ!!」
 サルバーの中には、音量や波長、周波数といった今までの音を構成するものではない”なにか”を測定する音度計という文字が刻まれた。サルバーの目は輝い ていた。自分ならその装置を開発できると思っていたし、それさえあれば生活にも困らないだろうと思った。サルバーはその日から研究に没頭した。翌日の面接 も、それからその次の日の面接も全て出席しなかった。

 そして今サルバーがどうなっているかは少し考えてみれば分かる。みなさんは音度計やサルバーという偉大な発明家をご存知でしょうか。


 このサルバーはある意味、管理人をそのまま描いています。まさに「音度計」とい う単語を思いつき、いい話が作れそうだと思い喜んだのですが・・・こんな話しかできませんでした。



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