不条理な虐殺
狭くて暗い部屋に私たちは押し込められていた。定期的に一人ないしは数名が連れて行かれる。そして、連れて行かれた者はもう帰ってこない。私たちは仲間
がどこへ行ってどうなるか知っていた。仲間たちは葬儀場へ行くのだ。そして、私たちは連れて行かれるとどうなるか知っていた。生きながらにして火をつけら
れ、灰になるまで燃やされる。そしてその場に放置されるのだ。誰が何のためにこのようなことをするのか私たちは知らない。
私たちの運命はあの日に決められていた。私たちは生まれ、しばらくは平穏な日々が続いていた。しかし、突然見知らぬ人物が私たちを集め、狭い部屋に押し
込めた。その瞬間、私たちは悟った。私たちは燃やされると・・・。
部屋は可動式の部屋になっていて小さな窓がついていた。部屋に押し込められているとき、窓のそばの人物がどこかへ運んでいることを教えてくれた。しか
し、そこがどこなのか分からない。この部屋はとても狭く、私たちはぎゅうぎゅう詰めにされていた。運ばれている間、何度となく強烈な振動が私たちを襲った
が、その場から一歩たりとも動くことはできなかった。そして振動が起こらなくなり、この部屋はどこかに設置された。
仲間がどこかへ連れて行かれるたびに私は過去のことを思い出す。今は部屋の中にいる者の数もかなり減り、部屋を自由に動き回ることができた。しかし、動
き回れるのは部屋の中だけ。決して外にでることはできない。私たちをここへ連れてきた奴らが、部屋の扉を開けるまでは外にでることはできない。ふと私は窓
の外を見た。暗く、光がない。私たちの部屋は死体安置室におかれている気がした。しかし、奴らにとってはこの部屋自体が死体安置室なのかもしれない。私は
奇妙な感覚に襲われ、めまいを感じその場に倒れた。
しばらくして扉が開き、奴らがやってきた。私と数名の仲間は抵抗するまもなく連れて行かれた。私は必死で抵抗したが、奴らの怪力は私の力ではどうにもな
らなかった。私は砂地に立たされた。そして腰までを地面に埋められてしまい、逃げ出すことができなくなった。そのとき、私は周囲を見てしまった。周囲には
仲間の残骸が見えた。完全に灰にならず、焦げた体の一部が転がっていた。
私は吐き気を感じた。しかし、何かを吐く暇すら奴らは与えてくれなかった。奴らは私の頭部に火をつけたのだ。私の体はそんなに簡単に燃えるものなのであ
ろうか? それとも奴らは私たちの知らない技術で、私たちに火をつけているのだろうか? 私の体はめらめらと燃えた。あまりの激痛に私は吐き気も忘れ、そ
の場でふるえていた。せめて体が自由ならば、その場で倒れ込みもだえることもできたのに・・・。私は奴らの残酷さを呪い、奴らをにらんだ。
私は見た。奴らは残忍な笑みを浮かべてはいなかった。奴らは悲しそうな目で私たちを見ていたが、その目は私たちではない何かを見ているようにも見えた。
「なぜ、私たちを苦しめるのだ?」私はそう叫ぼうとした。しかし脳波が口に伝わる前に私の意識は焼失し、私の体はさらに燃えさかった。
私の頭部は炭化し、支えを失い砂地に落ちた。連れてこられた仲間もおそらく同じ状態だろう。私の魂は体を抜け、ゆっくりと天国へと向かっていった。それ
を祝福するかのように、奴らは祈り、お鈴を鳴らしていた。
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5000HIT記念なのに、かなり残酷な作品・・・
それはよしとして。作品中にでてくる「私」や「私たち」とはいったい誰でしょう?
わたった人に何かをプレゼント・・・などはしませんが是非考えてください。答えの発表は6000HITを越えてから・・・でしょうか。
では答えの公表・・・。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・(ドラムロールではなく、ス○タンドを呼び出してます)
・・・「線香」です。
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