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SSの幼生


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花火
 ある花火大会、俺は花火を見ていた。文字通りぼんやりと・・・。
 ふっと誰かに見られた気がして、横を向くと、隣に一人の女性が座っていた。浴衣を着た彼女は、うちわを仰いぎながら俺の方をじっと見ている。
 話しかけようにも、花火が破裂する爆音と、人々の歓声で声は届かないだろう。また、周りには大勢の人がおり、花火大会が終わるまでは身動きがとれそうに ない・・・。

 大会が終わり、俺は彼女を探した。・・・、いない・・・。どこを探しても彼女の姿は発見できなかった。人も減り、俺は家に戻ろうとした。
「サヨナラ・・・」
「えっ・・・?」
 誰かに呼ばれて振り返るが小学生くらいの女の子が友達と別れるところだった。

 あれ以来、俺は彼女の事が頭から離れない。時々、花火を見た場所へ行くが当然の事ながら、彼女はいなかった。

 月日が過ぎ、また花火大会の日。今年もまた俺は同じ場所で花火を見ていた。
「・・・どうして、声をかけなかったのですか?」
 隣にまた彼女が座っていた。
「えっ?」
「あの夜には花が咲いていました。ほんの短い間・・・。しかし、その花はあの夜に散ってしまいました。」
「・・・?」
「あなたが声をかけなかったから。」

 あの時に声をかけなかったからといって、一体何になるというのだ?

「でも、大会後に待っていてくれれば・・・」

「・・・、花は・・・愛でるものがいなければ咲く意味が無いのですよ。」

「・・・、すまない。君の名前は・・・」

 あの日から一年後、去年にもまして美しい花が咲いていた。


無謀にも恋愛ものに挑戦・・・。見事に玉砕しました。
難しいです。



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