目次 > SSの幼生 の目次 > 秘技
SSの幼生


| << 前の作品へ | SSの幼生 の目次へ | 次の作品へ >> |



秘技
 私の家の近所には不思議な道場があります。毎年、偶数人の弟子を取るのですが、 皆伝により独立できる人はいつも半分だけです。残りの半分の人たちは、道場をやめ たという噂もありますが、まったく消息が分かりません。
 この道場で教える武術は空手のような武術で、独立した人は岡っ引き、用心棒など の仕事では一目置かれる存在となります。私は独立し用心棒をやっている人に、この 謎を問いましたが、答えは返ってきませんでした。
 岡っ引きになるため、そしてこの謎を解くためにある時、私はこの道場へ入門しま した。
 朝は日があける前に置き、昼食をとり日が暮れるまでひたすら稽古を続けます。時 には睡眠を取らずに3日間稽古を続けたこともありました。同じ年に入門した人は全 部で8人いました。皆、気さくな人たちですぐにうち解けあいました。
 入門して5年が経ちました。12月29日の夜、私達は修行の後、師匠に呼び出さ れました。
「師匠、話とは一体?」
「明日、お前達に秘技を教える。心してかかるように。」
 師匠は手をたたき、後輩の弟子達に酒宴の用意をさせました。
「この技の伝授が終わる時、お前達に皆伝の札を与える。今日は大いに飲め。そして、 再度、友との親睦を深めよ。」
 師匠はそう言って席を立ちました。その後、私達は時の経つことも忘れ、飲み明か しました。

 翌日・・・。
「これを見ろ・・・」
 秘技の伝授と言うこともあり、その日の稽古は後輩達とは離れ、師匠の道場で行わ れました。
「これが秘技の動きを記した巻物・・・。憶えたな?」
「はいっ!」
 師匠はくじ引き用の缶を取り出し、私達はいつものように好きなひもを引きました。> くじ引きを行うのは、技をかける練習相手を決めるためです。

 急に師匠の顔が曇り、私達の顔をまじまじを見つめました。そして、その口がかす かに動きました。
「一撃必殺・・・。文字通り、この技をかけられた者は死ぬ。これからくじを引いた 相手同士でこの技を掛け合うように。この技をかけ、相手を倒した・・・いや、”殺 した”ものに皆伝の札を渡す。」
 彼の目は涙で濡れていました。

 数時間後、道場には泣き崩れる5人と、4体の屍がありました。
「さぁ彼らを埋めてやれ・・・。明日、皆伝の札を渡す・・・。」

 その夜、私達4人は同士を埋めました。その後、闇の中でこの道場に伝わる謎の答 について延々と語り続けました。
 翌日、皆伝の札が渡され、門下生全員で新年を迎えるために祝いました。明日から、 私達には新しい未来があります。では、残りの4人の未来とはもともと用意されてい なかったのでしょうか・・・


 「一撃必殺技の伝授。実演ができない」。この文章から話をふくらませました。本 当は涙ぼろぼろになるようにしたかったのですが、文章力が足りないようです。悔し いですね・・・



| << 前の作品へ | SSの幼生 の目次へ | 次の作品へ >> |


SSの幼生

| 目次へ戻る | ページの上部へ |