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SSの幼生


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ニラ伝説
 毎年、この時期には吸血鬼が街を襲撃する。
「・・・なぜ吸血鬼は人間を襲うのだ?逃げ切れなかったもの取り囲み、血を吸い、殺す。 それだけしかしないではないか?神はなぜこれをお許しになられたのだ?」
 この地方の森の奥には吸血鬼がすむ場所があると言われ、彼らはそこから来ている ようだ。これまで何人かの勇気ある若者が和解を求めそこへ行ったのだが誰一人帰っ てこなかった。

「来たぞ!」
 自衛団声と共にたいまつがより明るく照らされた。警鐘が鳴り響き、眠っていた街 が再び動き出した。
「女、子供、年寄りを地下に避難させろ!!」
「まだ時間がある!走るな!落ち着いていけ!!」
 吸血鬼の一段は徐々に近づいてきた。
「さぁ、十字架とニンニクだ。」
 自衛団にはそれぞれ十字架が配られ、ニンニクのすり下ろしが入っている瓶が渡さ れた。彼らは十字架に祈りを捧げ首にかけた。そして、ニンニクを体に塗った。

 吸血鬼の集団は強烈なニンニクのにおいと十字架のためにまともに応戦できずに徐 々に後退していった。
「やはりニンニクを首にかけるだけよりも効果があるぞ!!」
 自衛団は勢いづき3時間後には全ての吸血鬼を追い払ってしまった。そして、犠牲者 もこれまでとは比べものにならないほど少なかった。

「・・・皆、大丈夫か?」
「あぁ、2,3創食らったがたいしたことはない・・・。」
 森の奥で吸血鬼同士が話している。
「しかし、人間も頭を使うようになったな。」
「困ったものだ。これでは俺たちの存在の保証が得られなくなる・・・。」
 吸血鬼は黙り込んでしまった。
「あのニンニクは強烈だったな・・・。」
 一人がぽつりとつぶやく。
「ニンニクに耐えられるように努力してみるか?」
 また一人、冗談のように言った。
「・・・やるか。」
 周りのものより少々豪華な服を着た吸血鬼が言った。

 それ以来、吸血鬼たちはニンニクに負けない体を作るために日夜努力を繰り返した。 ニンニクのすり下ろしを体に塗ってみるもの、毎日一口ずつニンニクを食べてみるもの。 それぞれが努力を繰り返すが、皆体調を崩し途中で挫折してしまう。
 そんな中、ニンニクの葉に注目した一人の吸血鬼が、ニンニクに似た臭いのする植物 を開発し、栽培した。これはニンニクの臭いはするが、いくら食べても体調を壊すこと はない。”これはいい”と話題になり、吸血鬼たちは積極的に食べるようになった。

 数十年後、地球上の生物の頂点に立つために人間が起こした大戦で吸血鬼は滅んだ。そ して人間の手に残ったのは、おぞましい吸血鬼の記憶と、人間に対抗すべく作られていた ニラだった。


 いやぁ・・・馬鹿な話を作ってしまいました。管理人は肉より魚が好きなので、肉 はあまり 食べませんが、ニラは肉と合いますよね。では、ニンニクも合うのでしょうか?
 一応、生物学上ニラとニンニクは似ているそうです。
 最後に、文中に出てくる”創”とは刃物で受けた傷の意味です。



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