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SSの幼生


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植物
 植物の研究とは危険な一面を含んでいる。その植物の種が外に漏れ、そこに定着して しまった場合生態系を破壊しかねないからだ。そして、ここにも困り果てた研究所があ った。
「U、P3-034Eの状況は?」
「所長、やはりだめです。どんな手を使っても消滅しません。」
「・・・う~む、ところでP、遺伝子を破壊する薬品の研究はどうだ?」
「からっきし駄目です。もともと研究段階で相当丈夫な体になっていますから・・・」
 所長は頭を抱えた。
「しかし、困ったなぁ・・・。特殊な条件でも群生できる植物の開発をしたのはいいが、ま さか研究段階でその種子が外に漏れてしまうとは・・・。」
「まだ、この研究所の周辺ですのでいいのですが、これが都市部にまで広がると・・・」
「あぁ、それ以上言うな。ほかのメンバーにも全力で取り組むように伝えてくれ。私は いざというときの手段を考える。」
 U、Pは頭を下げて部屋から出て行った。

 それから数週間後、植物を消滅させることはできず、どんどん増えていった。
 いわゆるベッドタウンから少し離れた場所に立地した研究所はあるのだが、植物がベッ ドタウンまで侵攻していることがわかった。
「あぁ、とうとう。あそこには奴の好む土壌が大量にある・・・。」
 研究員の報告を聞き、所長は頭を抱えてうめいた。
「・・・、そろそろ限界だろう・・・。明日、私はこのことを環境省へ伝えてくる。」
「・・・、そうですか・・・。」
 未完成で危険な植物が群生している事実がばれたらこの研究所は一体どうなるのだろう? 研究員はそれを考えると恐ろしかったが、もう事態はどうにもならない状態なのだ。

 翌日、環境省からの報告が新聞に発表されていた。
「コンクリートに寄生する植物の開発に成功。一部地域で試験的に繁殖させており、順調 に育っている。これにより我が国は都市の緑化に成功するだろう。」


 こんな植物・・・みなさんはあったらいいと思いますか?
 ”コンクリートに寄生する植物”というものを思いつき、話を広げようとしたのですが、 「植物と戦う」というストーリー展開はつまらないので、こちら側にしてみました。



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