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SSの幼生


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教祖の最後
 ある宗教の教祖が死ぬ直前の出来事。
「教祖様、どうか生き延びて私達を導いて下さい!」
 床に伏している教祖を囲む弟子の一人が言う。
「・・・、いや、私は死ぬだろう・・・。しかし・・・、私は天上界へ行き、より深い悟りを開き、50年後に再びこの地に戻るだろう・・・。」
 そう言って彼は目を閉じた。

 早速、弟子達は彼の教えを忘れぬように木管に書き残す。その時、弟子の一人が言う。
「我らが師、教祖様は果たして50年で悟りが開かれるのだろうか・・・?」
 それに対する答えは「大丈夫」と「いや分からぬ」の2つだった。そして、長い議論の末、「未だ教祖の悟りは不完全、故に彼も間違える」という結論になった。つまり「50年で悟りが開けるとは限らない」ということだ。
 そこで、弟子達は可能な限り長い年月、実際には「163億4520万年後までに必ずよみがえり、より素晴らしい教えを説くだろう」と記す事になる。

 天上界で神々に教えを受け、自分の悟りの浅さを感じていた教祖は弟子達の行動に感謝し、より深い悟りを開く為に努力を続けている。

 やがて、弟子達も死に、2代目、3代目と教祖の教えが伝えられて行くに従って、「・・・年後までに」が「・・・年後に」と伝えられてしまい、現在に至る。


 昔、何かの本を読んでいたときに、ある有名な宗教家が、「死後、相当長い年月経った後に再びよみがえりよりすばらしい教えを説く」と言って死んだそうです。僕はちょっと言い逃れっぽいなぁって重いました。
 それを広げてこんな形にしました。



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