天竺へGo!
玄奘三蔵は、孫悟空、沙悟浄、猪八戒という武術、知識に長けており、なおかつ信頼の
置ける仲間を連れて天竺を目指した。そして仲間たちと幾多の困難を切り抜けて、天竺と
思われる場所に到達した。
花が咲き乱れ、田畑の作物は生き生きとしている。太陽の日差しは柔らかく、鳥たちが
朗らかに歌う。山は青々としており、頂上は薄雲に覆われぼんやりとしていた。
「美しい場所ですね。」
猪八戒が三蔵に言う。
「三蔵様、ここが天竺でしょうか?」
孫悟空がうれしそうに訪ねる。
「そうだといいのですが・・・。そこのお方、ここは天竺でしょうか?」
三蔵は畑を耕す農夫に聞いた。
農夫は、面倒くさそうに振り向いたが、身分の高そうな衣服をまとった三蔵を見て丁寧
におじぎをしてから答えた。
「そ、そうでございます・・・。」
「何もそれほど硬くならずとも・・・。」
三蔵は困ったそぶりを見せた。
「・・・と、言うことはここが”極楽”なのですね。」
沙悟浄が農夫に聞く。
「”極楽”ですって?そんなことはございませんぜ。」
「ほぉ、それは一体どのような理由で?」
意外な答えを聞き、三蔵が再び口を開いた。
「今はこのように作物が育っておりますが、もうすぐ来る雨期にはもの凄い雨がふるんですよ。
それで、なかなか畑の様子が見られなし、田圃の泥が流れちまう。それに冬は大雪で男衆は出稼
ぎにいかねばやっていけません。和尚様、どうか俺たちを救ってくだされ!」
天竺の住人の苦悩を救うために、そして極楽の真の姿を見るために三蔵一行は村の長の家を訪
ねた。
「今夜、護摩を焚き、私が1刻祈りましょう・・・。ところで、極楽がある場所はどこでしょうか?」
三蔵を説得し、祈りの約束をした長は意外な顔をしたが、すぐに答えた。
「三蔵様、ここいらでは極楽はあの山を越えた先あると言われています。」
「ありがとうございます。大僧正から真の極楽を見てくるように言われ、我々は旅をしているの
です。」
「なるほど。しかし明日の朝にはたたれるのですか・・・。」
少々残念そうに長は答えた。
その夜、護摩を焚き、三蔵はこの地域の安定のために祈った。そして朝・・・三蔵たちは山の反対
側をめざし旅だった。
「お気を付けて!」
村人が遠くで手を振っている。
数日後、三蔵一行は山を越え、ある村に着いた。
「三蔵様、天竺と同じく美しい場所ですね。」
「あぁ、ここが極楽なのでしょうか?」
向こうで猪八戒が村の住人と思われる人物に話を聞いている。
「どうでしたか?」
「三蔵様、困ったことになりました。ここも極楽ではないようです。」
「そうですか・・・。では極楽はどこに?」
「ちゃんと聞いてきましたよ。どうやら、空の上にあるとか・・・。」
「空の上?」
少々残念そうに孫悟空が聞き返す。
「えぇ、ちなみにあの山の頂上から10丈ほど上には極楽へつながる扉があるそうです。」
猪八戒が指した山は小高く、山頂には寺があった。
「しばらくはここにとどまり、極楽へ行く術を探しましょうか・・・。」
そして、彼らはこの地に根を下ろした。しかも、彼らの子孫が国産初のロケットを作ったとい
う。これも運命なのだろうか・・・。
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また変な話です。伝えたいメッセージとかは一切ありません。
ところで、運命って不思議なものですよね。
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